昭和軒@中野区野方
それは、ある夏のこと。
俺は中野駅周辺で飲んで、帰っている時に、ふと入った店での話。
俺は心も身体も疲れ果てていた。
何も変わらない毎日。
そんな疲れを紛らわすため、酒をあおり、泥酔していた。
こんな人生なんて•••
誰に言うでもなく、ただ立ち込めた思いをしまい込み、ベタつくようなむし暑い夜道を一人歩いていた。
外は暗く深夜2時を回ろうとしていた。
車通りも少なく、ポツンポツンと等間隔で先の道を照らしている。
ふと先を見ると陸橋がある。
それは、暗い夜道をよりいっそう不気味に映し出す。
その陸橋の横に、小さな明かりが見える。
あんなとこに?こんな時間に?
なんだろう?
特に深くは考えずに近づいてみた。
「昭和軒」
こんなとこに?らーめん屋?
たまに、昼間に通る道なのに、こんな店は知らない。
中が見えないような窓づくり。
なぜ、俺は入ってしまったんだろう?
この疲れ果てた人生に嫌気がさしたのか?
酒を飲みすぎたのか?
その扉を開けてしまった。
扉の先には老婆が1人出迎えてくれた。70歳は越えているだろうか。
適当にテーブルにすわる。
そこには黒猫の姿。
いや、1匹ではない。
様々、疑問はあるが、
とりあえず、らーめんを注文。
となりの小さな座敷を横目で見てみる。
仏壇だ。
割と大きい。
店内は、店内とは思えぬ状態。
本当にらーめんが出るのか気になりだした。
そわそわしていると、らーめんが出てくる。
割と普通の見た目。
考えすぎると、止まらなくなる。
冷静に、猫がいっぱい店内にいるけど、毛とかは大丈夫か?
いや、今はそんなことを考えちゃいけない。
目の前のらーめんに集中するのだ!
でも、
猫のエサとか、店内に堂々と置いてあるけど、毎回手を洗っているのか?
いや、ダメだ。
今はらーめん!
その一点に集中すべし!
スープを飲んだ。
割と普通だ。
麺も頂く!
ちょっと柔らかい気はするが、全然普通だ。
ミステリアスな店内に反して、味は普通に食べれるし、まずくない!
残念ながら、酒が入ってるのと周りの雰囲気に圧倒されて、それ以上の味に関しては記憶がない。
ただひたすら、仏壇の横で猫と一緒にらーめんをすする。
しかも1人で•••
結果、お婆さんもいい人。優しかった。
猫カフェならぬ、猫らーと思えばいいであろう。
あまり、気にしない人ならぜひ、行ってみて頂きたい。
そして、お婆さんには頑張って頂きたい。
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